「入社して3か月で辞めてしまった」。採用に力を入れている会社ほど、この言葉は重くのしかかります。
早期離職の防止というと、本人の向き不向きに目が行きがちです。でも私は、辞める人と残る人の差は、受け入れる側の準備で大きく変わると考えています。
早期離職の防止は「入社前」より「入社後」が勝負
以前のコラムで、若手が辞める理由は「想像と違った」にあると書きました。入社前に職場の本当の姿を伝えることは、とても大切です。
ただ、どれだけ正直に伝えても、入社後の毎日は新しいことの連続です。慣れない仕事、知らない人、分からないルール。最初の3か月は、誰にとっても心細い時期です。
この時期を「本人が慣れるのを待つ期間」にするか、「会社が迎え入れる期間」にするか。私は、ここに辞める人と残る人の分かれ道があると思っています。
20代の離職理由は「目の前のこと」が多い
転職者実態調査(2025年)の離職理由を年代別に見ると、20代は人間関係や仕事の環境など、目の前の課題が理由になりやすい傾向があります。
30代以降になると、賃金や会社の将来性、自分への評価などが理由として目立ってきます。つまり若い世代ほど、「毎日どんな人と、どんな場所で働いているか」が残るかどうかに直結しやすいんです。
これは、会社にとって希望のある話だと私は思います。給料をすぐに上げるのは難しくても、人間関係や環境は、明日からでも変えられるからです。
3か月で辞める人・3年残る人を分ける3つのこと
新人が「ここでやっていけそう」と思えるかどうか。私は、次の3つがそろっているかが大きいと感じています。
1.居場所:自分の役割がある
何をすればいいか分からず、ただ立っている時間。新人にとって、これほどつらいものはありません。小さくてもいいので、「これはあなたの仕事」と言える役割を渡してください。
道具の準備でも、朝の片付けでもかまいません。誰かに「ありがとう、助かった」と言われる瞬間があると、人はそこを自分の場所だと感じられるようになります。
2.関係:気軽に話せる人がいる
私は現場監督時代、現場に着いたらまず1周掃除をして、職人さん一人ひとりに挨拶をしていました。意識していたのは「挨拶+一言」です。
職人さんが気持ちよく仕事をして、120%の力を出せる現場にしたい。そのためには、何でも話せる空気が欠かせないと考えていました。新人を迎えるときも同じです。挨拶に一言を添える。それだけで、相手の緊張はずいぶんほどけます。
3.手応え:できるようになったと実感できる
新人は、自分が成長しているかどうかを自分では測れません。「先週より早くなったね」「この段取り、よかったよ」。具体的に伝えてもらうことで、はじめて手応えになります。
注意してほしいのは、できていないことばかりを伝えてしまうことです。直してほしい点があるときこそ、できるようになった点も一緒に伝えてください。
教える側にも、うれしい変化がある
新人を迎える準備は、教える側の負担に見えるかもしれません。でも、そればかりではありません。
建設現場の1日体験KIZUKUの受け入れ企業さんからは、「若手に教える文化ができた」という声をいただきました。誰かを迎え入れることで、職場そのものが変わっていく。早期離職の防止は、会社全体で取り組むからこそ意味があるんです。
今日からできること
- 最初の1週間の「役割」を決めておく:入社初日から、任せる仕事を一つ用意してください。簡単なことで大丈夫です。
- 「挨拶+一言」を職場のみんなで:上司だけでなく、先輩も同僚も。名前を呼んで一言かける習慣をつくりましょう。
- 月に1回、「できるようになったこと」を伝える:入社3か月までは、成長を言葉にして返す時間をとってください。
まとめ
入社3か月で辞めるか、3年残るか。その差は、本人の根性だけで決まるものではありません。居場所と関係と手応えを、会社が先に用意しておくことです。
迎え入れる準備ができている会社には、ちゃんと人が根を張っていきます🔥
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