「新人教育は、結局いつも同じ人に任せきりになっている」。そんな声を、経営者さんからよく聞きます。
新人教育の仕組みというと、新人のためのマニュアルを思い浮かべるかもしれません。でも私は、いちばん変わるのは教える側だと考えています。今日はその話をさせてください。
新人教育が「人まかせ」になると起きること
仕組みがないと、教え方は教える人しだいになります。Aさんはていねいに教えるけれど、Bさんは「見ていれば分かる」。新人は、誰の言うことが正しいのか分からなくなります。
教える側も大変です。自分の仕事を抱えたまま、手探りで教える。うまく伝わらないと、教えること自体が負担に感じてしまう。その気持ちも、正直わかります。
でも、それは誰かが悪いのではありません。教えるための「道具」が用意されていないだけなんです。
新人教育の仕組みは「当たり前を言葉にする」ことから
ベテランの仕事には、本人も気づいていないコツがたくさん詰まっています。長く続けてきた人ほど、それを「当たり前」だと思っています。
私も現場監督だった頃、現場に着いたらまず1周掃除をして、職人さんに挨拶とひとことを添えるようにしていました。職人さんが気持ちよく仕事できるようにと考えて続けていたことです。でも、誰かに教えるとなったら「なぜそうするのか」を言葉にしないと伝わりません。
新人教育の仕組みづくりは、この「なぜ」を一つずつ言葉にしていく作業です。手順だけでなく、理由ごと書き出す。それが教える人の道具になります。
教えることで、ベテランが自分の仕事の価値に気づく
理由を言葉にしていくと、不思議なことが起きます。ベテラン自身が「自分の仕事って、こんなに考えてやっていたんだ」と気づくんです。
私が大事にしている考え方に、「ある」ものに目を向けるというものがあります。「うちには何もない」と思っている会社にも、働き続けている人がいて、その人の中に積み重ねがあります。新人教育は、それを掘り起こす絶好のきっかけです。
そして、言葉になった「当たり前」は、そのまま会社の魅力になります。求人票や社員紹介に書ける、本物の言葉です。教育の仕組みは、採用の仕組みともつながっているんです🔥
教える人も育つ、3つの工夫
1.仕事を「なぜ」つきで書き出す
まずは、新人に任せたい仕事を3つだけ選んでください。それぞれの手順と、「なぜそうするのか」を書き出します。完璧なマニュアルでなくて大丈夫です。
書き出すのは、できればベテラン本人と一緒に。社長や上司が聞き役になって、話を引き出すのがおすすめです。自分では当たり前すぎて、書こうとしても出てこないことが多いからです。
2.教える役割を何人かで分ける
一人に任せきりにすると、その人が倒れたら終わりです。分野ごとに「聞ける人」を決めておくと、教える負担も分かれ、より多くの社員が自分の仕事を見つめ直せます。
3.新人の声を教え方に返す
入社して1か月ほどたつと、新人にも少し余裕が出てきます。そのときに「分かりにくかったことは?」「前の職場と比べてどう?」と聞いてみてください。まだ会社に染まっていない目線は、教え方を磨くヒントの宝庫です。
今日からできること
- ベテランに「なぜ」を一つ聞く:「その段取りは、なぜそうしているんですか?」と聞いてみてください。答えが、教える言葉の最初の一行になります。
- 教える担当を2人以上にする:次に新人が入る前に、分野ごとの相談先を決めておきましょう。
- 教えて気づいたことを共有する:朝礼や会議で「教えてみて分かったこと」を一言ずつ話す場をつくると、社内の「当たり前」が少しずつ言葉になっていきます。
現場での教え方については、「見て覚えろ」を卒業する3つのコツでも書いています。あわせて読んでみてください。
まとめ
新人教育の仕組みは、新人を育てるだけのものではありません。教える人が自分の仕事の価値に気づき、会社の魅力が言葉になっていく仕組みです。
教える文化がある会社では、新人もベテランも、一緒に育っていきます。
「うちの会社の当たり前、実は魅力なのかも?」そう思ったら、一度お話を聞かせてください。表に出ていない本当の魅力を、一緒に掘り起こします。無料相談はこちら
