「うちの強みって、何だろう」。会社の強みを言語化しようとして、手が止まってしまう経営者さんは少なくありません。
でも、言葉にできないのは、強みがないからではありません。毎日あたりまえにやっているから、見えなくなっているだけなんです。
会社の強みが言語化できない、本当の理由
強みを書こうとすると、多くの会社が「丁寧な仕事」「人間関係が良い」といった言葉にたどり着きます。間違いではありません。でも、どの会社の求人にも書ける言葉なんです。
求職者が知りたいのは、「この会社ならではの何か」です。それは会議室で考えても、なかなか出てきません。
私が大切にしている考え方に、「ないものではなく、あるものに目を向ける」というものがあります。条件が良くないと感じる会社にも、今そこで働き続けている人がいます。その人たちが、強みの答えを持っているんです。
ステップ①社員に「理由」を聞く
まずは、社員の話を聞くところから始めます。ここで聞くのは「うちの強みは?」ではありません。答えにくい質問だからです。
おすすめは、次の3つの問いです。
- この会社に入った理由は?
- この会社で働き続けている理由は?
- この会社の好きなところは?
すると、「社長が現場に顔を出してくれる」「休みの希望が言いやすい」といった、ささやかな答えが返ってきます。言った本人は「こんなの普通ですよ」と笑うかもしれません。でも、その「普通」こそが材料です。
聞き手は、できれば社長以外の人がいいと思います。社長の前だと、どうしても良いことを言おうとしてしまうからです。
ステップ②「場面」まで掘り下げる
答えが出てきたら、そこで止めずに「たとえば、どんなとき?」と聞いてみてください。言語化のカギは、ここにあります。
「人間関係が良い」だけでは伝わりません。「失敗したとき、先輩が自分の失敗談を話してくれた」まで聞ければ、ぐっと景色が見えてきます。
現場監督をしていた頃、私は現場に着いたらまず1周掃除をして、職人さんに挨拶と一言を添えていました。自分にとっては当たり前の習慣です。でも、職人さんが気持ちよく仕事できる空気は、そういう小さな場面の積み重ねでできていました。強みも同じで、具体的な場面の中に宿っています。
ステップ③「届けたい一人」に向けて言葉を選ぶ
材料がそろったら、最後は言葉を選びます。ここで大事なのは、誰に向けて書くかです。
採用を釣りにたとえる考え方があります。アジを釣りたいのか、マグロを釣りたいのかで、エサも場所も変わる、というものです(出どころ:書籍『中小企業が採用で成功する絶対法則』)。強みの言葉も同じです。
未経験の若手に届けたいなら「教えてもらえる場面」を。子育て中の人なら「休みの言いやすさ」を前に出す。全部を並べるより、一人に刺さる言葉を選んだほうが、結果として会社の姿がはっきり伝わります。
そして、弱みも隠さずに書いてください。「繁忙期は忙しい。でも、その分チームで声をかけ合う」。こう書けるほうが、ずっと信頼されます。
今日からできること
- 社員2人に3つの問いを聞く:入った理由、続けている理由、好きなところ。休憩中の雑談で大丈夫です。
- 「たとえば?」を1回足す:返ってきた答えに、必ず一度だけ場面を聞いてメモしてください。
- 求人の一文を書き換える:「人間関係が良い」などの言葉を、メモした場面の言葉に置き換えてみましょう。
まとめ
会社の強みは、つくるものではなく、すでにあるものです。社員に理由を聞き、場面まで掘り下げ、届けたい一人に向けて言葉を選ぶ。この3ステップで、当たり前が強みに変わります。
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