「せっかく採用できたのに、また辞めてしまった」。そんな悩みを、経営者さんからよく聞きます。
社員の定着率を上げるには、給与や休日の見直しも大切です。でも私は、もう一つ大事なものがあると考えています。それは、社員が自分の会社を「誇れる」かどうかです。
社員の定着率を上げる鍵は「誇り」にある
友人に「どんな会社で働いてるの?」と聞かれたとき。胸を張って話せる人と、言葉をにごす人がいます。
胸を張れる人は、多少しんどい時期があっても踏ん張れます。自分の仕事に意味を感じているからです。逆に、誇れない会社では、小さな不満がそのまま「辞めたい」に変わりやすくなります。
誇りは、立派な実績や有名な取引先から生まれるとは限りません。「自分の仕事が誰かの役に立っている」。そう実感できたとき、人は自分の会社を誇れるようになるのだと思います。
誇りは「仕事の意味」が見えたときに生まれる
私が建設業を誇れる業界だと確信したのは、現場監督時代のことです。西日本豪雨で被災されたお客様の家で、詰まった排水を必死にかき出しました。水が流れた瞬間、お客様が泣いて喜んでくださった。その姿は今も忘れられません。
あのとき、「人が生きるために、なくてはならない仕事なんだ」と心から思えました。それからは、しんどい日があっても、この仕事を辞めたいとは思いませんでした。
ただ、毎日の仕事の中では、こうした意味はなかなか見えません。目の前の作業に追われると、「自分は何のためにやっているんだろう」と感じる日もあります。だからこそ、会社が意識して「あなたの仕事は、こんなふうに役立っているよ」と伝えることが大切なんです。
誇りを育てるのは、日々の「ほめる」
私が学んだ考え方に、入社半年は「ほめる7割:叱る3割」がいいというものがあります。
入社したばかりの人は、うまくできないのが当たり前です。そこで、できなかったことばかりを指摘され続けると、自信をなくしてしまいます。やがて「自分はここにいていいのかな」と、居場所まで見失ってしまうんです。
反対に、できたことにも目を向けてもらえると、人は少しずつ自信をつけていきます。自分に自信が持てる職場は、自分が誇れる職場につながっていきます。これは新人に限らず、ベテランの社員さんにも同じことが言えます。
社員の「当たり前」を、会社の誇りに変える
長く働いている社員さんほど、自分たちの良さに気づきにくいものです。毎日のことすぎて、「こんなの普通でしょ」と思ってしまうからです。
そこで力を貸してくれるのが、入社して間もない人の「外の目線」です。前の職場と比べて、ここがいいと感じたこと。逆に、直したほうがいいと思うこと。まだ会社に染まりきっていない人だからこそ、見えるものがあります。
「前の会社より、先輩が声をかけてくれる」。そんな一言が、ベテランさんにとっては思いがけない誇りになります。自社の魅力の掘り起こし方は、以前のコラムでも書きましたので、あわせて読んでみてください。
今日からできること
- お客様の声を、社内で共有する:お礼の電話や手紙、現場でかけられた一言。朝礼やグループチャットで、関わった社員さんの名前と一緒に伝えてください。仕事の意味が、みんなに見えるようになります。
- 「できたこと」を1日1つ伝える:特に入社半年までは、叱るより先にほめることを意識してください。具体的に伝えるほど、相手に届きます。
- 入社1か月の人に「外の目線」を聞く:「前の職場と比べて、うちのいいところは?」と聞いてみてください。出てきた言葉は、ほかの社員さんにも伝えましょう。求人票に使える言葉にもなります。
まとめ
社員の定着率を上げるために、特別な制度から始める必要はありません。社員が自分の仕事の意味を知り、自分の会社を誇れるようにすることです。
誇れる会社には、人が残ります。そして、どの会社にも必ず誇れるものがあります🔥
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