「アットホームな職場です」。求人票を見ていると、本当によく出会う言葉です。

求人票の書き方に迷ったとき、つい使いたくなる気持ちは分かります。でも私は、この一言を今すぐやめてほしいと思っています。

理由1:どの会社にも書いてあるから、何も伝わらない

求職者は、たくさんの求人票を一度に見比べています。その中で、同じ言葉が何十回も出てきたらどうでしょう。

「アットホーム」「やりがい」「風通しのよい職場」。どれも悪い言葉ではありません。ただ、誰でも書ける言葉は、読む人の目を素通りしていきます。

せっかくの求人票の一行を、どこの会社とも同じ言葉で埋めてしまう。これは本当にもったいないことです。

理由2:「結論」だけで「証拠」がない

「アットホーム」は、会社の雰囲気をまとめた結論です。でも求職者が知りたいのは、結論ではなく、そう言える理由のほうです。

デッサンにたとえると分かりやすいと思います。「これはリンゴです」と輪郭だけ描いても、リンゴには見えません。光や影を描き込んで、はじめてリンゴが浮かび上がります。

会社も同じです。「アットホーム」と言い切るより、それを感じる場面を描く。そのほうが、読む人の中で自然に「温かい会社なんだな」という像ができあがります。

理由3:読む人によっては、不安の言葉になる

ここは少し耳の痛い話です。「アットホーム」と聞いて、安心する人ばかりではありません。

「職場と私生活の境目があいまいなのかな」「飲み会が多いのかな」と、身構える人もいます。書いた側にそんなつもりがなくても、受け取り方は人それぞれです。

あいまいな言葉は、読む人が自分の不安で中身を埋めてしまいます。だからこそ、具体的に書くことが大切なんです。

求人票の書き方は「形容詞」より「場面」

では、何を書けばいいのか。私のおすすめは、形容詞を「場面」に置き換えることです。

たとえば、こんなふうに考えてみてください。

  • 「アットホーム」→ 社員同士が、実際にどんな声をかけ合っているか
  • 「教育制度が充実」→ 入社したての人が、最初の1か月に誰から何を教わるか
  • 「若手が活躍」→ 若手社員が、いまどんな仕事を任されているか

現場にいた頃、私自身も職人さんとの関係づくりに苦労しました。初めての現場では「出来の悪い監督が来た」とぼそっと言われたこともあります。それでも毎日現場に行き、挨拶をして、話をしました。完工するころには、笑い話にしてもらえる関係になれました。

職場の温かさは、こういう積み重ねの中にあります。「アットホーム」という一言には、とても収まりきりません。

弱みも正直に書いていい

もうひとつ、勇気を出してほしいことがあります。それは、会社の弱みも正直に書くことです。

「繁忙期は帰りが遅くなる日もあります」「まだ仕組みが整っていない部分があります」。こうした一文は、マイナスに見えるかもしれません。でも、隠さずに書く会社は、それだけで信頼されます。

弱みを書いたら、いま会社として取り組んでいることも一緒に添えてください。入社後の「こんなはずじゃなかった」を減らすことにもつながります。早期離職については若手がすぐ辞める理由のコラムでも書いています。

今日からできること

  • 求人票の形容詞に、線を引いてみる:「アットホーム」「明るい」「充実」など、雰囲気を表す言葉をすべて拾い出してください。その一つひとつに「たとえば?」と問いかけ、答えを場面で書き直します。
  • 社員さんに「うちらしい瞬間」を聞く:「この会社っていいなと思ったのは、どんなとき?」と聞いてみてください。出てきた答えは、そのまま求人票の言葉になります。
  • 弱みを一つだけ書き足す:最初から全部でなくて大丈夫です。一つだけ正直に書き、その横に取り組んでいることを添えてみましょう。

まとめ

求人票の書き方で大切なのは、きれいな言葉を並べることではありません。あなたの会社でしか起きていない場面を、正直に描くことです。

「アットホーム」と書かなくても、温かさはちゃんと伝わります。その材料は、もう社内にあるはずです🔥

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