「うちには採用担当者がいない」。「結局、社長の私が全部やっている」。中小企業の経営者さんから、本当によく聞く声です。

日々の仕事を回しながら、求人を書いて、電話に出て、面接もする。それは大変ですよね。でも、専任の担当者がいなくても、採用を回す方法はあります。

採用担当者がいない会社に、本当に足りないもの

私が学んだ考え方に、採用につながる「社内リソース」には3つの要素がある、というものがあります。採用活動を担当できる人がいるか。採用について正しい知見と判断力を持つ人がいるか。現場と採用の橋渡し役ができる人がいるか、の3つです。

ここで大事なのは、これが「3人の専任者」ではなく「3つの役割」だということです。一人で全部を背負う必要はありません。

担当者がいない会社に足りないのは、人の数ではなく、役割の分け方なのかもしれません。

仕組み①役割を「3つ」に分けて、みんなで持つ

まずは、さきほどの3つの役割を社内で分けてみてください。たとえば、応募の連絡や日程調整は事務の方に。現場の魅力を伝える橋渡しは、若手と年の近い先輩に。最後の判断は社長に、という形です。

役割が見えると、「何を頼めばいいか」がはっきりします。頼まれた側も、自分の仕事として動きやすくなります。

現場監督をしていた頃、私が大事にしていたのは、職人さんが気持ちよく動ける段取りでした。採用も同じで、誰が何をするかが決まっているだけで、ぐっと回りやすくなります。

役割を頼むときは、「手伝って」ではなく「この部分をお願いしたい」と伝えるのがおすすめです。任された人が自分の言葉で会社を語り始めると、求職者に届く魅力も、社長ひとりのときより厚みが出てきます。

仕組み②「スピード」を決めごとにする

採用を釣りにたとえる考え方があります。ターゲットが釣る魚、求人原稿が釣り竿、タイトルや写真がエサ、媒体が釣り堀。そして最後の「釣り上げ」が、スピード感と採用の流れです(出どころ:書籍『中小企業が採用で成功する絶対法則』の考え方をもとに整理)。

担当者がいない会社で一番起きやすいのは、この釣り上げの遅れです。応募が来たのに、忙しくて連絡が数日後になる。その間に、相手の気持ちは離れてしまいます。

だからこそ、「応募が来たら当日中に誰かが一報を入れる」など、スピードをルールにしてしまいましょう。人に頼らず、決めごとで守るのがコツです。

仕組み③ハローワークを「月1回の習慣」にする

担当者がいない会社ほど、お金をかけずに使える場所を大切にしてほしいと思っています。その代表がハローワークです。厚生労働省の転職者実態調査では、転職者の約3分の1がハローワークを利用しているという結果があります。

おすすめは、月に1回、窓口に足を運ぶことです。担当の方と顔なじみになると、求職者に求人を紹介してもらいやすくなります。応募が来ない理由を一緒に考えてもらえることもあります。

「月1回」と決めておけば、忙しい会社でも続けやすい。訪問する人も、毎回社長である必要はありません。現場をよく知る社員が行けば、仕事の様子を自分の言葉で伝えられます。

今日からできること

  • 3つの役割に名前を書き込む:「連絡・日程調整」「現場との橋渡し」「最終判断」の3つを紙に書き、それぞれ誰が持つかを決めてみてください。
  • 応募への「一報ルール」を決める:応募が来たら、当日中に誰が連絡するか。担当が不在のときの代わりの人も、あわせて決めておきましょう。
  • ハローワーク訪問をカレンダーに入れる:まずは来月の1回分だけで大丈夫です。予定に入れてしまえば、習慣は始まります。

まとめ

採用担当者がいないことは、採用ができない理由にはなりません。役割を分けて、スピードを決めごとにして、続けられる習慣をつくる。それだけで、採用は社長ひとりの仕事ではなくなります。

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