会社見学で、社員に案内をお願いした。でも社員は、どこか緊張した顔で「いい会社ですよ」と言うだけ。そんな場面に心当たりはありませんか。
採用に社員を巻き込むことは、とても大切です。ただ、巻き込み方を間違えると、社員は「会社の宣伝係」になってしまいます。今日は、社員が本音で語れる採用のつくり方をお話しします。
社員を採用に巻き込んでも、「いいこと」しか出てこない理由
社員が採用の場で無難なことしか言わないのは、やる気がないからではありません。「何を言っていいのか分からない」からです。
社長の前で、会社の弱みを話していいのか。正直に言ったら、応募が減るんじゃないか。社員はそう考えて、言葉を選びます。
その結果、求職者に届くのは、どこの会社でも言えるような言葉になります。せっかく社員を巻き込んでも、これではもったいないですよね。
現場にいた頃、よくあったのが「社長の前だと、職人さんの口数が急に減る」という場面でした。本音は、安心できる場所でしか出てきません。採用でも同じです。
求職者が知りたいのは「一緒に働く人」の素顔
2025年の転職者実態調査をもとにした離職理由のデータでは、20代は人間関係や仕事の環境が大きな理由になっていました。目の前で一緒に働く人や、毎日の職場の空気。そこが合わないと、人は辞めてしまうんです。
だからこそ、求職者は「どんな人と働くのか」を知りたがっています。その答えを持っているのは、社長ではなく現場の社員です。
KIZUKU(建設現場1日体験)を受け入れた内装工事会社からは、「面接より先に現場を見てもらうことで、入社後のギャップがなくなった」という声をいただきました。ありのままを見せることが、ミスマッチを防ぐのだと感じています。
欠点まで描くと、会社が立体的に見えてくる
私はよく、採用をデッサンにたとえます。「ウチはこんな会社です!」と輪郭だけをなぞった絵は、平面的です。影や光まで濃く描くと、描いていない輪郭が自然に浮かび上がります。
会社の欠点や大変なところは、まさにその「影」です。「夏の現場は正直きつい」「繁忙期は帰りが遅くなることもある」。そう話したうえで「それでも続けている理由」を語れる社員の言葉は、とても強いです。
いいことだけを並べた会社より、大変さも笑って話せる会社のほうが信頼できる。求職者は、そこをちゃんと見ています。
社員が本音で語れる空気をつくる3つのコツ
コツ1:社長が先に「本音OK」と伝える
社員にお願いするときは、「いいことだけ言わなくていいよ」と最初に伝えてください。この一言があるだけで、社員の肩の力はぐっと抜けます。
コツ2:「大変なこと」と「続けている理由」をセットで聞く
欠点だけを話すと、ただの愚痴になってしまいます。「この仕事の大変なところは?」と聞いたら、「それでも続けている理由は?」も聞いてみましょう。この2つがそろうと、会社の本当の姿が見えてきます。
コツ3:社員の本音を、社長が否定しない
社員が弱みを話したとき、社長が「そんなことないだろう」と返すと、次からは誰も本音を言わなくなります。まずは「教えてくれてありがとう」と受け止めてください。直せるところは、一緒に直していけばいいんです。
今日からできること
- 社員に2つの質問をする:「この仕事で大変なことは?」「それでも続けている理由は?」と、休憩中に聞いてみてください。
- 見学や面接の前に「本音OK」を伝える:案内をお願いする社員に、「ありのままで大丈夫」と一言添えましょう。
- 求人票に「大変なところ」を1つ書く:社員から出てきた本音を、続けている理由と一緒に載せてみてください。
社員を採用に巻き込む最初の一歩は、採用に社員を巻き込む3つの工夫のコラムでもお話ししています。
まとめ
採用に社員を巻き込むなら、宣伝係ではなく「本音の語り手」になってもらいましょう。欠点も含めて語れる会社は、求職者にとって安心できる会社です。
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