「採用動画って、本当に効果があるの?」。そう迷っている経営者さんは多いと思います。お金も手間もかかるので、慎重になるのは当然です。

私の答えはシンプルです。採用動画の効果は、条件を伝えることではありません。職場の「空気」を伝えることにあります。

求人票では、空気までは伝わらない

求人票に書けるのは、給料、休日、仕事内容といった情報です。どれも大事ですが、どれも「文字」です。

求職者が本当に知りたいのは、その先です。「どんな人が働いているんだろう」「怒鳴り声が飛び交う職場じゃないかな」。こうした不安は、文字だけではなかなか消えません。

現場にいた頃、よくあったのが「来てみたら思っていた雰囲気と違った」という声です。条件は納得していても、空気が合わなければ人は続きません。

逆もあります。条件だけを見れば少し見劣りする会社でも、「この人たちと働きたい」と思えれば、人はそこを選びます。空気は、条件の差を埋める力を持っているんです。

採用動画の効果は「入社前のギャップ」を減らすこと

動画には、文字にはない力があります。声のトーン、笑い方、道具を扱う手つき、休憩中の何気ない会話。そういうものが、数秒で伝わります。

私が運営している建設現場の1日体験「KIZUKU」でも、受け入れ企業さんからこんな声をいただきました。「面接より先に現場を見てもらうことで、入社後のギャップがなくなった」。

動画は、その「先に見てもらう」を、もっと多くの人に届ける方法です。応募の前に空気を知ってもらえれば、「合う人」が来てくれる。これが採用動画のいちばんの効果だと私は考えています。

応募の数だけを追いかけると、動画の効果は見えにくいかもしれません。でも、入社してから「思っていたのと違う」が減れば、それは立派な成果です。採用は、入ってもらって終わりではありませんから。

きれいに飾った動画ほど、伝わらない

ここで、ひとつ耳の痛い話をします。プロっぽく、かっこよく、良いところだけをつないだ動画。実はそれが、いちばんもったいないんです。

私はよく、デッサンにたとえます。「ウチはこんな会社です!」と輪郭をなぞるだけでは、絵は平面的になります。影や光、まわりの景色まで描き込んだとき、はじめて形が浮かび上がります。

動画も同じです。泥だらけの作業着、真夏の汗、うまくいかなくて悩む顔。そういう場面も正直に映すからこそ、「この会社、なんかいいな」が自然に伝わります。

動画は「釣り餌」のひとつ

書籍『中小企業が採用で成功する絶対法則』では、採用を釣りにたとえています。どんな魚を釣りたいかを決めないと、餌も場所も決まらない、という考え方です。

動画も、誰に見てほしいかで中身が変わります。未経験の若手に向けるのか、経験者に向けるのか。そこを決めずにつくると、誰の心にも刺さらない動画になってしまいます。

今日からできること

  • 「誰に見てほしいか」を1人に絞る:年齢、経験、どんなことで悩んでいそうか。社員と一緒に、顔が浮かぶくらいまで話し合ってみてください。
  • 社員に「うちらしい場面」を聞く:朝礼、休憩中、仕事が終わった瞬間。社長が選ぶ場面と、社員が選ぶ場面は違うはずです。その両方が動画の材料になります。
  • スマホで1日を撮ってみる:いきなり本格的な動画でなくて大丈夫です。普段の1日を撮って見返すだけで、当たり前すぎて気づかなかった魅力が見えてきます。

本格的につくるなら、社員さんの言葉と現場の空気をそのまま残せる形を選んでください。私たちもPR動画制作で、現場に入り込んで撮ることを大切にしています。

まとめ

採用動画の効果は、条件ではなく空気を届けることにあります。飾らず、ありのままを映すほど、合う人が見つけてくれます。

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