「どの求人サイトがいいですか?」「お金をかければ人は来ますか?」。中小企業の採用方法について、こんな質問をよくいただきます。
気持ちは、とてもよく分かります。でも私は、その前に決めてほしいことがあると思っています。それは「誰に届けるか」です。
中小企業の採用方法は「誰に」で9割決まる
採用を釣りにたとえる考え方があります(出どころ:書籍『中小企業が採用で成功する絶対法則』)。釣りたい魚が決まらないと、竿もエサも場所も決まりません。
求人も同じです。どの媒体を使うか、何を書くか、どんな写真を載せるか。全部「誰に届けたいか」で変わります。
逆に言えば、ここがあいまいなまま媒体を変えても、結果はなかなか変わりません。採用方法を選ぶ前に、まず相手を決める。これが中小企業の採用の一歩目だと、私は考えています。
ターゲット設定で、よくある3つのミス
「ターゲットくらい決めてるよ」という声も聞こえてきそうです。ただ、私が学んだ中で「あ、これやってた」と思ったミスが3つあります。
①ほしい要素を盛りすぎる
経験あり、資格あり、明るくて、体力もあって、長く働いてくれる人。気づけば理想の人物像がどんどん大きくなっていきます。
そして実は、他の会社の求人も同じように盛っています。結果、どの求人も似た顔になってしまうんです。
②「誰でもいい」にしてしまう
反対に、困っているときほど「来てくれるなら誰でも」となりがちです。でも誰でもいい求人は、誰の心にも刺さりません。
③今の組織に合っていない
理想だけで人物像を決めると、今いる社員とのバランスを忘れてしまうことがあります。新しい人だけ特別扱いになると、今いる社員の中に不満が広がりやすくなります。採用は、今いる仲間を大切にすることとセットです。
2人の社員を思い浮かべる「思考実験」
では、どうやって相手を決めればいいのか。私が学んで「なるほど」と思ったのが、次の思考実験です。
「こんな人がもっと来てくれたら」と思う社員さんを、2人思い浮かべてください。そして、その2人について考えてみます。
- この人は、なぜうちに入社したんだろう?
- この人は、なぜうちで働き続けているんだろう?
- この人は、うちのどこが好きなんだろう?
次に、その2人がまだ他の会社で働いていると想像してみてください。2人に「うちに来ませんか」と伝えるとしたら、今の求人票と同じ言葉を使うでしょうか。たぶん、違う言葉を選ぶはずです。
その「違う言葉」こそ、求人に書くべき言葉です。人物像は「どんな人が欲しいか」ではなく、「どんな人がうちで活躍できるか」から考える。すでに活躍している人の中に、答えはあります。
求人は「一人あての手紙」でいい
現場監督をしていた頃、私は職人さん一人ひとりに「挨拶+一言」を心がけていました。全員に同じ言葉ではなく、その人に向けた一言です。
不思議なもので、その一言から関係が変わっていきました。人の心が動くのは、自分に向けられた言葉だと感じたときなんだと思います。
求人も、みんなに好かれようとすると、誰にも届かなくなります。たった一人を思い浮かべて、その人あての手紙のように書く。そのほうが、結果的に「自分のことだ」と感じる人が集まってきます。
今日からできること
- 「来てほしい人」に近い社員を2人選ぶ:まずは名前を書き出すだけで大丈夫です。
- その2人に3つの質問をしてみる:「なぜ入社した?」「なぜ続けている?」「どこが好き?」。お茶を飲みながらの雑談で十分です。
- 答えを使って、求人の最初の3行を書き直す:条件の前に、その人に向けた言葉を置いてみてください。
まとめ
中小企業の採用方法で大切なのは、媒体やお金の前に「誰に届けるか」を決めることです。答えは、今あなたの会社で働いている人の中にあります。
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